曹洞宗管長 江川辰三
私たちをとりまく社会は、今、混迷を深めています。地球温暖化をはじめ、戦争、貧困などの諸問題、国内では「格差社会」「無縁社会」とも言われ、年間3万人を超える自死者、いじめや虐待など、いのちの尊厳が失われ、人びとは不信と不安の中にあります。曹洞宗は、これまで「人権の尊重、平和の確立、環境の保全」を願い、「絆」を深める取り組みを進めてまいりました。本年度は日常生活の中でより具体的に展開するため、「向きあう」「伝える」「支えあう」という3つの柱を立て、四摂法の「利行(利他行)」を目標に掲げました。
道元さまは、「利行は一法なり、あまねく自他を利するなり」と示されました。
瑩山さまは、「常に大慈大悲に住して、坐禅無量の功徳、一切衆生に回向せよ」と諭しておられます。
み仏とご先祖さまのみ前で、姿勢を正し、呼吸を調え、ひととき心静かに坐りましょう。大慈大悲の坐禅はおのずから「利行」に力を与えてくれます。
「あなたと向きあい、あなたと正しい教えを伝えあい、あなたと共に支えあう」ことで、一人ひとりのいのちを生かす社会がひらかれます。
日々、他を思いやり共に生きる「利行」の実践を重ねましょう。
南無釈迦牟尼仏 |